勤怠控除とはどんな仕組み?計算方法や注意点を徹底解説

クロノス広報チーム

公開日:2026.09.15、更新日:2026.09.15

勤怠控除(欠勤控除)とは、遅刻や早退などによって働かなかった時間分を給与から差し引くことを指します。
控除額の計算方法にはさまざまな考え方があり、控除の対象となるケースや各種手当の取り扱いなども考慮する必要があるため、運用に悩む人事労務担当者も少なくありません。
しかし、一歩間違えれば勤怠控除は従業員の給与に直接関わるため、運用を誤ると労使トラブルや法令違反につながる可能性があります。
本記事では、勤怠控除が発生するケースや計算方法、運用上の注意点など、実務で押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。

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勤怠控除とは

勤怠控除とは、欠勤や遅刻、早退などによって働かなかった時間分を給与から差し引くことです。たとえば、1日欠勤した場合や予定の勤務時間より短く勤務した場合、その不就労時間に応じて給与が減額されることがあります。
これは労働基準法が定める「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づく正当な処理であり、正社員やアルバイトなど雇用形態を問わず適用されます。
この「ノーワーク・ノーペイの原則」については後述にて解説していきます。

勤怠控除の仕組み

勤怠控除は、まず欠勤や遅刻、早退などの勤怠情報を集計し、その時間や日数に応じた控除額を計算します。控除額の計算方法は企業によって異なりますが、一般的には月給や日給、時間給などの賃金体系に基づいて、1時間の遅刻であれば1時間分の賃金を、1日の欠勤であれば1日分の賃金を基準として、不就労時間に相当する金額を算出します。
この控除の対象や計算方法については、あらかじめ就業規則や賃金規定で定めておく必要があります。

そして、算出された控除額は給与計算時に反映され、実際の勤務実績に応じた給与が支払われます。

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勤怠控除はノーワーク・ノーペイの原則に基づくものである

勤怠控除は前述した”ノーワーク・ノーペイの原則”に基づいて行われます。ノーワーク・ノーペイとは、「労働が発生していない時間や日数に対しては、企業は賃金を支払う義務がない」という考え方です。
賃金は労働の対価として支払われるため、欠勤や遅刻、早退などによって実際に労働していない時間については、その分の賃金を支払う義務はありません。
勤怠控除は、このノーワーク・ノーペイの原則に基づき、従業員の勤務実績に応じて給与を調整する仕組みであるため、欠勤や遅刻、早退が発生した場合には、働かなかった時間に相当する賃金が給与から差し引かれます。

勤怠控除が発生するケースの具体例

勤怠控除は実際の勤務時間が所定労働時間を下回った場合に発生しますが、対象となる状況は多岐にわたります。
ここでは、実務で発生しやすい代表的なパターンについて、それぞれのケースを詳しく解説していきます。

①感染症に伴う欠勤

インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などにより欠勤した場合は、原則として勤怠控除の対象となります。欠勤した日数や時間に応じて控除額が計算されるため、欠勤期間が長くなるほど控除額も大きくなります。
感染症の種類や企業の運用によっては、医師の指示や社内ルールに基づいて一定期間の出勤停止が求められる場合もありますが、この場合の賃金の取り扱いは企業が定める休暇制度や就業規則の内容によって異なります。
また、有給休暇を取得した場合や、会社独自の特別休暇制度が適用される場合は、勤怠控除が発生しないケースもあります。
そのため、感染症に罹患した場合の賃金の取り扱いについて、事前に労使間で就業規則を共有しておくことが重要です。

②体調不良に伴う欠勤

発熱や腹痛、頭痛などの体調不良による欠勤は、原則として勤怠控除の対象となります。ただし有給休暇を取得した場合は、感染症に罹患した場合と同様、勤怠控除が発生しません。一般的に、体調不良による欠勤は本人の都合による欠勤として扱われ、欠勤した日数や時間に応じて給与から控除されます。
また、企業によっては病気休暇や特別休暇などの制度を設けている場合もあるため、制度の内容によっては減額されないケースもあります。
体調不良は誰にでも起こり得るため、欠勤時の連絡方法や給与の取り扱いについて、あらかじめ就業規則や社内ルールで明確にしておくことが重要です。

③家族の病気に伴う遅刻・早退

家族の体調不良や看病、急な通院などが理由で遅刻や早退をした場合、私用による不就労時間となるため勤怠控除の対象とされています。
たとえば、子供の急な発熱により出勤が遅れた場合や、家族の通院付き添いのため予定より早く退勤した場合などが該当します。
ただし、時間単位の有給休暇を充てた場合は、その時間は有休となるため減額されません。また、法律に基づく子の看護等休暇や介護休暇を取得することも可能ですが、これらは会社が就業規則等で「有給休暇」と定めていない限り、原則として控除対象となります。
突発的な事態に備え、自社の休暇制度が有給休暇か無給休暇か、申請ルールとあわせて事前に周知しておくことが重要です。

勤怠控除が適用されないケースの具体例

すべての欠勤や遅刻、早退が勤怠控除の対象となるわけではなく、勤怠控除が発生しないケースも存在します。勤怠控除の適用可否を誤って判断してしまうと、労使間のトラブルや法令違反につながってしまうリスクも考えられます。実務上の具体例を交えて紹介していきます。

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①有給休暇を取得して休んだ場合

有給休暇は労働義務が免除されつつも通常通りの賃金が支払われる制度であるため、有給休暇を取得して休んだ場合、勤怠控除は発生しません。
たとえば、体調不良や私用、家族の都合などで休む際に有給休暇を利用した場合、その日は出勤したものと扱われ、差し引きされずに所定の賃金が支払われます。有給休暇は1日単位だけではなく、企業によっては半日単位や時間単位で取得できる場合もあり、その範囲内で利用した時間については勤怠控除の対象外となります。

②会社都合で休業した場合

会社の都合によって従業員を休業させる場合は、原則として勤怠控除は適用されません。
労働基準法第26条では、会社都合の休業について以下のように述べられています。

使用者の責に帰すべき事由による休業においては、使用者は、労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。 (労働基準法第26条)

ここでいう「使用者の責に帰すべき事由」とは、資材不足によって作業ができない場合などが該当し、会社側の事情による休業を指します。地震や台風といった自然災害などの不可抗力による休業については、労働基準法第26条の対象外となります。

こういった会社都合による休業の場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があると示されており、休業手当は一般的に次の方程式で算出します。

休業手当 = 平均賃金 × 支給率(60%以上)× 休業日数

会社都合による休業は通常の欠勤と異なり、勤怠控除によって賃金を差し引くのではなく、法令に基づいて休業手当を支給する必要があります。

【出典】会社の都合で仕事を休まされている。休んでいる分の補償はないのか。|厚生労働省

勤怠控除を計算する方法

勤怠控除を適切に行うためには、控除の対象となる時間や日数を正しく把握したうえで、就業規則や賃金規定に基づいて金額を算出する必要があります。給与計算ミスを防ぐためにも、基本的な計算方法を理解するようにしましょう。

欠勤控除の場合

ここからは、欠勤や遅刻、早退の日数に応じた控除額の考え方や、主な計算方法について解説していきます。計算方法によって控除額の考え方や特徴が異なるため、それぞれの違いもあわせて解説します。

①月給額÷年平均の月所定労働日数×欠勤日数

この計算方法は、1年間の平均的な月所定労働日数をもとに勤怠控除額を算出する方法です。
月によって所定労働日数は異なりますが、年間の平均日数を基準にすることで、欠勤した月によって控除額に大きな差が生じにくく、年間を通じて一定の基準で計算できる点が特徴です。企業側にとっても、月ごとに計算基準を変更する必要がないため、給与計算業務を標準化しやすい点がメリットとして挙げられます。特に、複数の拠点や部門を抱える企業では、統一したルールで運用できることで、計算ミスの防止や業務負担の軽減につながります。

一方で、実際に欠勤した月の所定労働日数ではなく年間平均を用いるため、その月の勤務実績と控除額のバランスに差が生じる可能性があります。所定労働日数が少ない月には実態より控除額が低くなり、所定労働日数が多い月には高くなる場合があるため、従業員へ計算方法の考え方をあらかじめ周知し、控除額の根拠を説明できるようにしておくことが大切です。

②月給額÷該当月の所定労働日数×欠勤日数

この計算方法では、欠勤が発生した月の所定労働日数を基準として勤怠控除額を算出する方法です。該当月のカレンダー上の所定労働日数をもとに計算するため、その月の労働実績に即した控除額を算出できる点が特徴です。
欠勤が発生した月の勤務実態がそのまま計算に反映されるため、控除額の算出根拠がわかりやすく、従業員に説明しやすい点がメリットです。給与と勤怠実績の関係が明確になることで、納得感のある運用につながります。

しかし、月ごとに所定労働日数が異なるため、同じ日数欠勤した場合でも月によって控除額が変動する点には注意が必要です。所定労働日数が少ない月は1日あたりの控除額が高くなりやすく、所定労働日数が多い月は低くなりやすいため、時期によって給与への影響が異なります。

③月給額÷年の暦日数×欠勤日数

この計算方法は、所定労働日数ではなく、年の暦日数(365日または366日)を基準に勤怠控除額を算出する方法です。所定労働日数ではなく年間の暦日数を用いることで、月ごとの勤務日数の違いによる影響を受けにくい点が特徴です。
メリットとしては、暦日数を基準に計算することで、年間を通じてシンプルな計算ルールで控除額を算出することが可能となる点が挙げられます。

デメリットとして、実際の勤務日数ではなく暦日数を基準にするため、同じ1日あたりの控除額が低くなる点です。特に月給制の従業員の場合、実際に働く予定だった日数ではなく暦日数を基準に計算するため、勤務実態とのずれが生じる場合があります。企業側の人件費負担が大きくなることに注意が必要です。

④月給額÷該当月の暦日数×欠勤日数

該当月の暦日数(28日~31日)を基準に、勤怠控除額を算出する方法です。
所定労働日数ではなく月間の暦日数を用いるため、休日を含めた月全体の日数を基準に計算する点が特徴です。月ごとに暦日数が異なるため、所定労働日数を基準とする方法に比べて1日当たりの控除額が低くなり、毎月異なる日数を確認しながら計算する必要があるため負担が増えやすい点がデメリットです。
一方、カレンダー日数という客観的な数値を基準にするため、計算の根拠を従業員に説明しやすい点はメリットといえるでしょう。

遅刻・早退控除の場合

遅刻や早退控除の算出方法にはさまざまな考え方がありますが、1時間あたりの賃金額を算出し、その金額に遅刻、早退時間を乗じて計算することが一般的です。

● 計算式

1時間あたりの賃金額 × 遅刻・早退時間

たとえば、1時間あたりの賃金額が2,000円の従業員が1.5時間の遅刻をした場合、遅刻、早退控除額は3,000円となります。
遅刻や早退控除は、実際に労働しなかった時間分の賃金を算出するため、まずは1時間あたりの賃金額を算出する必要があります。また、1時間あたりの賃金額の算出方法は企業によって異なり、月の所定労働時間を基準にする方法や、年間平均の所定労働時間を基準にする方法などがあります。どの計算方法を採用するかは企業ごとの判断となるため、あらかじめ就業規則や給与規定で計算方法を定めておきましょう。

勤怠控除に関する注意点

勤怠控除は給与にも直結するため、わずかな計算ミスや運用上の認識のズレが大きなリスクにつながることもあります。だからこそ、明確にルールを整備し、適切な運用を行うことが重要です。ここからは、勤怠控除を行う際に確認しておきたいポイントについて解説していきます。

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①勤怠控除に関するルールを就業規則に明記する

勤怠控除を行う際は、あらかじめ就業規則や給与規定に控除の対象となる事由や計算方法を明記しておくことが重要です。ルールが曖昧だと、労使間で認識の相違が生じ、給与をめぐるトラブルにつながるリスクがあります。
特に、勤怠控除時の算出方法には複数の考え方があるため、どの計算方法を採用するのか事前に定めておく必要があります。遅刻と早退控除に関しても、1時間あたりの賃金額の算出方法や端数処理のルールなど複数の考え方があるため、明確にしておくことが重要です。
就業規則や給与規定で運用ルールを明文化し、従業員へ周知しておくことで、控除額の根拠を説明しやすくなり、労使間のトラブル防止にもつながります。

②違法な勤怠控除を行わない

勤怠控除は、不就労時間分のみを差し引く仕組みであり、実際に働かなかった時間を超えて給与を控除することは法令違反となります。
また、遅刻や欠勤のペナルティとして過度な減給を行うことも認められていません。
減給の制裁を行う場合は、労働基準法第91条で定められた減給額の範囲内で運用する必要があります。勤怠控除と懲戒処分による減給は考え方やルールが異なるため、混同しないよう注意しましょう。法令に反する控除を行ってしまうと、従業員とのトラブルにつながるだけでなく、企業の信頼低下を招いてしまう可能性があります。

③各種手当の扱いを決める

勤怠控除を運用する際は、通勤手当や住宅手当などの各種手当についても、欠勤や遅刻、早退が発生した場合の取り扱いをあらかじめ決めておくことが重要です。
手当の内容によっては、欠勤日数に応じて減額する場合もあれば、勤務状況に関わらず一定額を支給する場合もあります。特に、皆勤手当のように出勤状況と密接に関係する手当は、支給条件を明確に定めておく必要があります。
手当ごとの取り扱いが曖昧なまま運用してしまうと、給与計算のミスや従業員との認識の相違につながるリスクがあり、労使トラブルにつながる可能性も高くなります。
トラブルを未然に防ぐためにも、各種手当の支給条件や欠勤時の取り扱いについて、就業規則や賃金規定に明記しておくことが大切です。

④最低賃金を下回らないようにする

賃金控除を行う際は、控除後の賃金が最低賃金を下回らないよう注意する必要があります。
最低賃金は、都道府県ごとに定められた最低限支払わなければならない賃金額のことを指します。欠勤や遅刻、早退に応じて適切に勤怠控除を行うことは問題ありませんが、控除後の賃金が最低賃金を下回ることは認められていません。
最低賃金の確認にあたっては、基本給だけではなく、最低賃金の算定対象となる賃金をもとに時間額へ換算して判断する必要があります。特に、時給換算した際に最低賃金を下回っていないかを定期的に確認するようにしましょう。

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まとめ

勤怠控除は、欠勤や遅刻、早退などの不就労時間や日数に応じて給与を調整する仕組みです。控除額の計算方法にはさまざまなパターンがあり、企業ごとにルールが異なるため、就業規則や賃金規定に基づいて適切に運用する必要があります。
実務では違法な控除を行わないことはもちろん、各種手当の取り扱いや最低賃金にも注意しなければなりません。
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