クロノス広報チーム

勤怠管理は従業員が働きやすい環境を整えるほか、働き方の多様化が進む現代において企業運用に欠かせない重要な項目のひとつです。
出退勤時間の記録だけでなく、残業時間や休暇、有休管理など従業員の勤務状況を正確に把握することは、法令遵守や勤怠トラブルの回避にもつながります。
本記事では、そもそも勤怠管理とは何か、管理方法の種類や、メリットからデメリットについてわかりやすく解説していきます。
勤怠管理とは?
勤怠管理とは、従業員の出退勤や労働時間、休暇などの勤務状況を企業が正確に把握し、適切な労働環境を管理することです。
- 目的 :従業員の勤務時間を正確に管理し、正確な賃金を支払うこと
- 対象者 :企業で働くすべての従業員
- 管理項目:
- 1.労働日数
- 2.労働時間数
- 3.休日労働時間数
- 4.時間外労働時間数(残業)
- 5.深夜労働時間数
- そのほか実務上管理した方がよい項目も存在します。
参照:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
勤怠管理の目的
勤怠管理の最大の目的は、従業員が安心して働ける環境を整えるため、「正確な労働時間の把握」「長時間労働やサービス残業の防止」「休日・休暇の適切な付与」「適切な賃金の支払い」「公正な給与計算」などを行い、企業が法令遵守をしながら効率的に運営できる仕組みをつくることにあります。
勤怠データは給与計算や人員配置の基礎情報となるため、正確な記録は業務効率化やコスト管理にも直結します。
近年では、働き方改革やテレワークの普及に伴い、勤怠管理は単なる出退勤の記録だけでなく、企業のコンプライアンスや従業員の健康管理を支える重要な業務として位置づけられています。
勤怠管理の対象者と管理すべき項目
勤怠管理の対象者は、「企業で働くすべての従業員」です。
管理監督者など一定の責任のある従業員及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る)を除く、すべての従業員が対象となります。
労働基準法では、「企業は労働時間を適性に把握し、正確な勤務時間の記録を行うこと」とあります。
これらの法律を遵守するためにも下記の管理項目は必ず把握し、管理しましょう。
管理項目 | 内容 |
---|---|
労働日数 | 賃金計算期間内において従業員が出勤した日数のこと |
法定労働時間数 | 労働基準法第32条で定められている労働時間のこと 1日8時間・週40時間 (特例措置対象事業場を除く)と定められる |
休日労働時間数 | 法定休日(週1日)に労働した時間のこと 企業は従業員に対し、通常の賃金に加え1.35倍以上の割増賃金を支払う必要がある |
時間外労働時間数(残業) | 1日8時間以上・週40時間を超える労働時間のこと 上限月45時間・年360時間を遵守する必要がある 上限を超えた場合、通常の賃金に加え1.25倍以上の割増賃金を支払うよう努めなければならない |
深夜労働時間数 | 労働基準法第37条4項で定められた午後10時~午前5時の時間帯における労働時間のこと 企業は従業員に対し、通常の賃金に加え1.25倍以上の割増賃金を支払う必要がある |
主な勤怠管理の3つの方法とメリット・デメリット
2019年4月より、客観的な記録による労働時間の把握が法的義務となりました。
勤怠管理システムを利用した管理が注目を集めるなか、勤怠管理の方法として代表的な3つを挙げていきます。
- タイムカード
- メリット :導入・初期費用が安価
- デメリット:修正が容易・集計に手間取る・紛失・不正打刻のリスク・保管スペースの確保の発生など
- Excel
- メリット :Microsoft Officeをインストールし、導入・初期費用をかけず始められる
関数やマクロなどさまざまな機能で独自の計算方法に対応できる - デメリット:ヒューマンエラーの発生・労働時間改ざんのリスク
フォーマット作成や法改正の度にメンテナンスが必要といった手間が発生
- メリット :Microsoft Officeをインストールし、導入・初期費用をかけず始められる
- 勤怠管理システム
- メリット :勤怠集計に時間を費やしていた時間を削減できる
正確な労働時間を把握し、管理できる
不正打刻や打刻漏れ、データの漏れを防げる
リアルタイムで従業員の勤務状況を確認できる
法令順守を徹底しながら安心した勤怠管理ができる
給与システムへ自動でデータを移行できる - デメリット:導入・初期費用がかかる
導入時は社内運用に向けた従業員への周知など労力がかかる
自社の運用ルールにマッチせずシステムを使いこなせない
- メリット :勤怠集計に時間を費やしていた時間を削減できる
どの手法にもメリット・デメリットがあります。
法改正が下されるなかで、どのように勤怠管理を行うべきか、どのような方法を選べばよいか実際に迷っている企業も多いのではないでしょうか。
厚生労働省が定める「客観的な打刻」を行うためには、自社の運用とそれぞれの手法を照らし合わせて最適な手法を選ぶことが大切といえます。
① タイムカード・手書きでの管理
勤怠管理システムの活用が注目されているなかで、従来のアナログ管理ではタイムカードや出勤簿など紙による管理が代表として挙げられます。
なかでもタイムレコーダーにタイムカードを挿入し、出退勤時刻を記録する紙による勤怠管理の手法は、導入コストが安価なため手軽に勤怠管理を始められます。
タイムカードの利用方法は非常にシンプルで、従業員が出退勤のタイミングに合わせてタイムカードを挿入し記録できます。
一方で、タイムカードは紙であることから修正が容易にできてしまうほか、紛失や不正打刻のリスクも考えなければなりません。
加えて、タイムカードに記録された勤怠情報を担当者が集計しなければならず、この作業でもヒューマンエラーの発生する可能性や、管理・集計に膨大な時間がかかるといったデメリットがあります。
② Excelでの管理
Excelでの勤怠管理はMicrosoft Officeをインストールし、導入・初期費用をかけず始められます。
多くのパソコンに導入されているため、小規模企業や打刻の手間を省きたい企業にとっては導入ハードルが低く、インターネット上に公開されているテンプレートを用いて勤務形態や運用ルールに合わせて管理できることが魅力のひとつといえます。
しかし、従業員の勤怠データを手入力して集計するため、勤怠担当者の工数や入力漏れなどのヒューマンエラー発生の可能性や法改正時には計算フォーマットやデータの修正が必要で、定期的なメンテナンスも欠かせません。
手入力ゆえに容易に修正できるため、厚生労働省が定める「客観的な打刻」の条件を満たしているか、注意して運用する必要があります。
③ 勤怠管理システムでの管理
勤怠管理システムによる管理は、パソコンやスマートフォン、ICカードなどのITツールを活用して、従業員の労働時間や日数、休憩時間、残業時間や有給休暇の残日数など、管理項目を正確に把握しながら適切な自動集計ができます。
従来のアナログ管理やExcelによる手入力管理に比べ、勤怠担当者の負担となっていた集計や確認作業にかかる時間を大幅に削減し、ヒューマンエラー発生を防ことで業務効率化を図れる点が一番のメリットとして挙げられるでしょう。
また、法改正が行われた際に随時自動アップデートされるシステムであれば、知らないうちに法令違反となるリスクを回避できるといったさまざまなメリットがあります。
一方で、勤怠管理システムの導入にはコストが発生します。
一般的には費用対効果が見えにくいと言われていますが、正確性向上の効果を考慮すれば中長期的には業務効率化という面で十分な投資効果が見込めます。
自社の運用ルールに適応できる、有用な機能が搭載された勤怠管理システムを選ぶことが大切と言えるでしょう。
勤怠管理を行う際の3つの注意点
勤怠管理は、従業員の勤務状況を正確に把握するだけでなく、法令を守りながら安心して働ける環境をつくるために欠かせない大切な業務です。
ここでは、勤怠管理を進めるうえで注意点といえる3つのポイントをご紹介します。
- テレワーク・多様な働き方への対応
- 扶養内勤務など雇用形態別の管理
- 法改正への適切な対応
① テレワーク・多様な働き方への対応
近年、テレワークやフレックスタイム制、変形労働制、時差出勤、短時間勤務といった“多様で柔軟な働き方”が現代のビジネスにおいては聞き馴染みのある言葉になってきました。
従業員のニーズに合わせて労働時間や勤務場所を選択できる一方で、勤怠担当者はより正確な勤務状況と労働時間を管理する必要があります。
決められた場所で出退勤打刻を行うといったこれまでの手法から、従業員の働き方をより見える化した、働き方にとらわれない勤怠管理をしなければなりません。
こうした現代の働き方へ柔軟に適応できる勤怠管理システムを選択することはもちろん、パソコン以外にもスマートフォンを活用した打刻システムが有効です。
クラウド型の勤怠管理システムを導入すれば、直行直帰などの外出先からも出退勤打刻ができ、勤怠担当者はリアルタイムで勤怠情報を把握できるようになり、システムによってはGPS機能の搭載されており、どの場所で打刻された記録なのかを把握することも可能です。
② 扶養内勤務など雇用形態別の管理
パートやアルバイトが扶養内で働く場合、年収の上限いわゆる「年収の壁」を超えないよう勤怠管理を行うことが大切です。
労働時間や時給から月ごとの給与見込みを計算し、年間収入が扶養控除の上限(一般的には約130万円や106万円など)を超えないよう管理しなければなりません。
なかにはリアルタイムで勤務時間や給与額を確認し、設定値に近づいた際にはアラートを出すといった機能を搭載している勤怠管理システムもあるため、検討時の視野に入れることをおすすめします。
また、従業員への周知では、年収の壁を超えると社会保険料の負担が増えることや、扶養から外れる影響をわかりやすく説明することが重要です。
こうした対応により、従業員が安心して働ける環境を構築できるでしょう。
③ 法改正への適切な対応
働き方の多様化が進むなか、一人ひとりが事情に応じた多様で柔軟な働き方を“自分で選択”できるようにするためには、法改正にきちんと対応していくことがとても大切です。
36協定の厳格化や年次有給休暇の取得義務化などまずは最新の法令内容を正確に把握し、社内ルールの見直しや勤怠管理の手法を見直しましょう。
例えば、上限規制への対応では残労働時間を正確に管理し従業員の残業時間が上限を超えないよう管理することや、上限を達してしまいそうな従業員を事前に把握すること、有給休暇取得率向上のため計画的な取得推進を行います。
また、社内では従業員への周知や管理者に対し勤怠管理への意識を高めるなどの教育も必要となり、法令遵守の意識を高めることは欠かせません。
勤怠管理システムで実現できることとは?
勤怠管理システムは、労働時間や勤怠データの集計を自動化し、法令遵守と業務効率化を同時に実現する現代の働き方に対応するうえで、企業にとって非常に重要なツールです。
区分 | 内容 |
---|---|
主な機能 |
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メリット |
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デメリット |
|
業務効率化を実現する主な機能
そもそも勤怠管理システムで何ができるのでしょうか。主な機能を見てみましょう。
- 打刻機能
勤怠管理システムの打刻機能はさまざまな方法があります。
タイムレコーダーといったモデルタイプのものからWeb打刻やアプリ打刻、生体認証を活用した打刻、入退出管理システムと連携しセキュリティを強化させる方法など自社の運用ルールや現場環境に合わせて選択できます。 - 勤怠データの自動集計
記録された勤怠データをシステムで自動集計できます。
勤務形態に合わせた集計方法を個人や部署ごとに設定でき、上限規制へ対応するためのアラート機能や、有休管理機能、柔軟な働き方を実現するフレックスタイム制や変形労働制にも対応できます。 - 申請・承認ワークフロー
クラウドであれば、外出先など場所にとらわれずに勤怠に関する申請と承認をすることができます。
申請経路をカスタマイズで設定し、申請したワークフローが今どこまで回っているかの状態もリアルタイムで把握できます。
パソコンだけでなくスマートフォンからも操作することが可能です。
導入で得られるメリット・デメリット
勤怠管理システムを導入する魅力は、勤怠集計にかかっていた時間を大幅に削減し、法令遵守をしながら正確に管理できることです。
これまで勤怠担当者が手作業で行っていた出退勤や残業時間の集計作業を自動化し、負担を軽減するとともに、正確で客観的な記録によって適切な賃金支払いの基盤をつくることができます。
ほかにも勤怠管理の手法を見直すことで、管理部門の工数削減や人件費の最適化といった効果が見込めます。
また、法改正に合わせてシステムが自動でアップデートされるタイプなら、常に最新のルールに沿った勤怠管理ができ、思わぬトラブルを防ぐことにもつながるでしょう。
ただし、初期コストがかかることや、社内に浸透させるための説明や操作方法を浸透させるための時間が必要となることは念頭に置いておく必要があります。
負担をなるべく抑えるためにも、導入前だけでなく導入後もしっかりとサポートをしてもらえるかなど、自社の運用ルールに合った勤怠管理システムを選び、導入検討を計画的に進めることが大切です。
失敗しない勤怠管理システムの選び方と比較ポイント
では、導入に失敗しないために押さえておきたい3つのポイントについて解説していきます。
- 自社の企業規模や業態・業種に合っているか
- 必要な機能と料金体系は見合っているか
- サポート体制や他システムと連携できるか
① 自社の企業規模や業態に合っているか
企業ごとに勤怠の運用ルールは異なるため、まず自社の拠点数や従業員の人数規模、勤務形態に合っているかを確認してみましょう。
勤怠管理システムを導入したものの、自社の運用ルールに合わずシステムを使いこなせていないといったケースは少なくありません。
勤務形態の種類の多さやフレックスタイム制に変形労働制、パートやアルバイトの採用、シフト制、製造業で現場間での移動が発生するといった業種特有の集計方法を採用しているなど、これらの条件に対応できる勤怠管理システムの選び方がなにより大切です。
システムによって機能差があるため、自社の運用ルールに対応できるか、勤怠担当者だけでなく従業員双方にとって使いやすいかをしっかり比較しながら見極めましょう。
② 必要な機能と料金体系は見合っているか
導入時にはコストが発生するため、システムが運用ルールに合っているかの確認が必要です。
自社にとって必須の機能があれば希望機能を明確にすることも大切な要素と言えるでしょう。
たとえば、打刻方法や残業申請、シフト管理、休暇管理など、運用ルール合わせて稼働するために必要な機能をリストアップし優先順位をつけ、使わない機能に無駄なコストをかけることは避けたいところです。
料金体系は初期費用や月額料金、従業員数や拠点数による従量課金制などがあり、システムによって大きく異なります。
比較の際は機能の充実度に加えて標準機能で運用できるかどうかも重要で、場合によってはオプション機能での対応が必須となることもあるため、必ずその有無を確認しましょう。
初期コストを抑えることも大切ですが、長期的な運用コストまでを見据えながら、自社の予算と必要な機能がバランスよくマッチするかを含めて検討しましょう。
③ サポート体制や他システムと連携できるか
スムーズに導入し運用するためには、導入時のサポートや運用開始後のサポート対応が充実していることは非常に大切なポイントなため、どのような問合せ方法があるかを事前に確認しておきましょう。
アナログやExcel管理からシステムへ移行となった際に、システムに不慣れであることから運用に不安を感じている勤怠担当者も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
その不安を取り除き運用後も安心して日々の操作をするため、トラブルが発生した場合でも迅速に解決できるサポート体制が整っているかを必ず確認してください。
また、給与計算システムなど他システムと連携できるかも重要なポイントです。
連携がスムーズだと二重入力の手間が減りミスを防げるなど、業務効率化の幅がひろがるため注目してほしいです。
まとめ
勤怠管理は単なる出退勤時間の記録だけでなく、多様化や働き方の選択肢が増える現代において重要な業務であり、企業で働くすべての従業員の義務でもあります。
勤怠集計にかかっていた時間を大幅に削減し、法令遵守をしながら正確に管理することで働きやすい労働環境に貢献できることが最大のメリットです。
クロノス株式会社が提供する勤怠管理システムは、勤怠集計の複雑な業種にカスタマイズ不要で特化した機能を搭載しています。
小規模から中小企業、大企業の現場環境に合わせて選択できる打刻方法から、残業管理や有休管理機能、フレックスタイム制・変形労働制への対応、給与計算システムの自動連携など業務効率化を図りたい企業におすすめのシステムを取り揃えています。
クロノスの勤怠管理が気になった方は「クロノスPerformance」をぜひご検討ください。
よくある質問
勤怠管理で必要な項目は何ですか?
- - 労働日数
- - 法定労働時間数
- - 休日労働時間数
- - 時間外労働時間数(残業)
- - 深夜労働時間数
- - 休憩時間
- - 早退・欠勤・遅刻
- - 代休・振替休日
- - 有給休暇取得日数・残日数
- - 特別休暇項目