通勤手当は非課税?交通費との違いや改正後の限度額を徹底解説

クロノス広報チーム

公開日:2026.05.20、更新日:2026.05.20

従業員の通勤に伴う電車・バス代やガソリン代などを、企業が補助する目的で支給しているのが「通勤手当」です。
実務では交通費と混同されがちですが、税務上の扱いは大きく異なります。
通勤手当の非課税限度額や適用ルールについて、詳細まで正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。
本記事では、通勤手当に関する基礎知識から2025年に改正された最新の非課税限度額まで、実務で押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。

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通勤手当は非課税?

通勤手当とは、従業員が自宅から勤務地まで通勤することで生じる費用に対して、会社が支給する手当のことを指します。
通勤手当は、所得税法で規定されている限度額までは非課税として扱われますが、限度額を超えた分は課税対象となります。また、通勤方法や距離によって非課税となる金額が異なるため、基準を正しく把握することが重要です。

非課税限度額内の場合は非課税

通勤手当は、所得税法で規定されている非課税限度額の範囲内であれば非課税となります。

通勤手当は給与の一部となりますが、通勤に必要な費用を補うものという考え方に基づき、一定額までは税金を課さないという取り扱いがされています。

限度額を超えた場合は課税対象

支給する通勤手当の額が非課税限度額を超えた場合、その超過分については給与と同様に課税対象として取り扱われます。

たとえば、公共交通機関を利用する従業員に対して毎月3万円の通勤手当を支給しているものの、通勤経路に基づく非課税限度額が2万円である場合、残りの1万円は課税対象となり、給与所得として源泉徴収の対象になります。

そもそも通勤手当と交通費のちがいは?

通勤手当と交通費は、どちらも移動にかかる費用のため混同されやすいですが、税務上の扱いも異なるため、それぞれの性質を区別して理解することが大切です。

まず、通勤手当とは従業員が自宅から勤務地まで通勤することによって日常的に発生する費用を、従業員の負担軽減のために会社が支給する手当のことを指し、主に電車の場合は通勤定期券などが基準となります。
自家用車や自転車で通勤する場合には、実際のガソリン代などをそのまま精算するのではなく、通勤距離などに応じた一定額を手当として支給する形が一般的です。
通勤手当は、利用する移動手段が電車やバス、自家用車などであっても出社するための移動という観点から、手当として扱われます。

一方で交通費は、業務を行うために必要となる移動に対して支払われる費用です。
電車やバスを使って取引先に訪問した場合の運賃や、出張時に利用した新幹線代や飛行機代、業務中に車で移動した際の高速料金やガソリン代などが該当し、原則として実費で精算されます。業務を行うために必要となる移動であるため、会社の経費として扱われます。

交通費は全額非課税

交通費は、従業員が会社の業務を行うために移動した費用であり会社が本来負担するべき業務経費という位置づけのため、所得税はかからず全額非課税となります
また、交通費は通勤手当とは異なり、業務上の直接的な移動に対する費用であるため、通勤手当のような非課税限度額の制限を受けないことも特徴です。

【関連】交通費とは?通勤手当・旅費交通費との違いや非課税制度、計算方法を解説

【2025最新版】通勤手当における非課税限度額

所得税法の改正により、令和7年4月1日以降、自家用車や自転車などを使って通勤している従業員に支給される通勤手当について、非課税として認められる限度額の引上げが行われました。自家用車や自転車で通勤する場合の1か月あたりの非課税限度額は、通勤距離に応じて決められています。

改正前と改正後の1か月あたりの非課税限度額について、通勤距離ごとに下記の表で整理しています。

区分 課税されない金額
改定後
(令和7年4月1日以後適用)
改正前
①交通機関または有料道路を利用している人に支給する通勤手当 1か月あたりの合理的な運賃 同左
②自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当 通勤距離が片道
55km以上
38,700円 31,600円
通勤距離が片道
45km以上55km未満
32,300円 28,000円
通勤距離が片道
35km以上45km未満
25,900円 24,400円
通勤距離が片道
25km以上35km未満
19,700円 18,700円
通勤距離が片道
15km以上25km未満
13,500円 12,900円
通勤距離が片道
10km以上15km未満
7,300円 7,100円
通勤距離が片道
2km以上10km未満
4,200円 同左
通勤距離が片道
2km未満である場合
全額課税 同左
③交通機関を利用している人に支給する通勤定期乗車券 1か月あたりの合理的な運賃等の額
(最高限度150,000円)
同左
④交通機関または有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券 1か月あたり合理的な運賃等の額と②の金額との合計額
(最高限度150,000円)
同左

【出典】通勤手当の非課税限度額の改正について|国税庁

【出典】No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁

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2025年4月以降に支払われるべき通勤手当の定義は?

通勤手当の非課税限度額の改正について、国税庁は2025年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用される(同日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加支給するものを除きます)ことを示しています。多くの企業に関わる変更点となるため、改正が施行された際には社内規定の改定など、具体的な運用面で混乱がないよう早めに準備を進めましょう。

また、就業規則や給与規定で通勤手当を支給する日が決まっている場合は、その支給日が2025年4月1日以後かどうかで改正された非課税限度額の金額が適用されるかが決定します。特に、月末締め・翌月払いなど企業ごとに異なる支給サイクルが存在するため、規定内容と実務でずれがないか事前に確認する必要があります。
支給日が規則などで定められていない場合は、実際に支給する日が2025年4月1日以降であるかどうかが判断の基準となります。

このように、2025年4月以降に支払われるべき通勤手当の定義については、いつの通勤分かではなく、いつ支払うことになっている通勤手当かという点が判断のポイントです。
今回の改正が行われる前に、改正前の非課税限度額を超えた通勤手当を支払っていた場合、これまで課税していた通勤手当の一部が非課税の対象となる可能性があるため、年末調整で税金を再計算する必要があります。また、従業員からの問い合わせも予想されるため、事前に改正内容をアナウンスしておくことが混乱のないスムーズな運用に繋がります。

【出典】通勤手当の非課税限度額の改正について|国税庁

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まとめ

通勤手当とは、従業員が自宅から勤務先まで通勤するために必要となる費用に対して、会社が支給する手当のことであり、一定の限度額まで非課税として扱われます。

しかし、通勤手当の処理を誤ってしまうと、税務調査などで指摘を受け追微課税が求められる可能性があるほか、年末調整などで再計算する必要となるなど実務上の負担が生じます。
そのため、正しい区分で処理することは企業にとって非常に重要です。

経費精算システムを導入することで、個人ごとの定期区間の設定や役職などに応じた日当など手当の設定も可能となり、通勤手当と交通費を明確に区分して管理することができます。これにより誤った処理を防ぎ、税務リスクの軽減と同時に経理担当者の業務効率化にもつながります。

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交通費に関するよくある質問

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交通費はどこまでが非課税?

出張や取引先の訪問など業務のため必要な移動にかかる交通費は、原則として全額が非課税となります。
これには出張時の電車・バス・新幹線などの代金や業務で利用したタクシー代などが該当し、「会社の業務を行う上で必要な移動であること」「実費であること」「業務内容や移動内容が適切である」ことの要件を満たせば、金額の上限はなく所得税を課さない交通費として扱われます。
しかし、通勤にかかる交通費や業務と無関係な移動、実費を超える定額の支給などは、非課税ではなく課税対象となる場合があるため注意が必要です。

交通費は年収に入る?

交通費は原則年収に含まれません
交通費は収入ではなく、従業員が仕事のために支払った移動の費用を会社が後から精算しているという考え方になり、従業員自身の利益にはならないと判断されているためです。

また、出張や業務で発生した交通費は税務上かかった費用を会社が補填する“実費弁償”という考え方に基づいているため、給与には含まれません。給与明細の非課税欄に記載されている場合でも、課税所得には含まれないルールとなっています。このように、交通費は給与とは区別され、年収や課税所得にも含まれないため切り離して考えることがポイントです。

通勤手当は非課税?

通勤手当は、一定の限度額の範囲内であれば非課税となります。
ただし、全額が必ず非課税となるわけではなく、非課税限度額を超えた分は給与として課税対象となるため注意が必要です。

また、通勤にかかる実際の経路や方法によって非課税限度額などが変わるため、支払額が適正かどうかを確認することが大切です。
公共交通機関(電車・バス等):1か月あたり15万円まで
マイカー・自転車等:通勤距離に応じて段階的に限度額が設定されている
(※2025年4月より、自転車通勤等の限度額が引き上げられています)

ただし、社会保険における130万の壁などの扶養判定では所得税とは異なり、通勤手当を含めた総収入で判断されるため、通勤手当を含めた合計額で基準を超えないかチェックしておくことが大切です。

また、非課税が認められる大前提として、利用する経路は最も経済的かつ合理的でなければなりません。不必要に高額なルートや遠回りの経路での申請は、非課税と認められないケースがあります。
企業側には、従業員が申告した経路や手段の妥当性を精査し、支給額が非課税枠に収まっているかを管理する必要があります。

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