交通費とは?通勤手当・旅費交通費との違いや非課税制度、計算方法を解説

クロノス広報チーム

公開日:2025.10.02、更新日:2025.10.02

交通費とは業務のために発生する移動にかかる費用のことを指し、「通勤時にかかる移動費」「訪問先へ移動する際に発生した移動費」など、これらが交通費にあたります。
電車・バス・タクシーなどの公共交通機関や自家用車のガソリン代、駐車料金などが該当します。

交通費には旅費交通費や通勤交通費(通勤手当)といった複数の種類があり、それぞれ意味や目的は異なります。

本記事では、旅費交通費や通勤交通費(通勤手当)のそれぞれ意味や目的、ポイントについてわかりやすく解説していきます。

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交通費とは

交通費とは、仕事や業務に関連して発生する移動費用の総称で、電車・バス・タクシーなどの公共交通機関や自家用車のガソリン代、駐車料金などが含まれます。
会社が従業員に支給する場合、通勤や出張に伴う費用として計上されることが多く非課税扱いになる制度もあるため、交通費の扱い方や計算方法を正しく理解し、混合しないよう適切に処理することが重要です。

「通勤交通費(通勤手当)」との違い

交通費と通勤交通費は混同されやすい項目でもあります。

まず、交通費は仕事や業務に関連して発生する移動費用の総称で、出張や営業活動、研修など通常の勤務地から普段とは違う勤務地へ移動する際に発生する、日常的にかかる費用が交通費となります。
移動にかかる電車・バス・タクシー代、さらにはガソリン代や駐車料金なども含まれ、この費用においては経費扱いとなります。

一方で、通勤交通費は従業員が自宅から職場まで通勤する際にかかる費用の一部また全額を指し、定期代やバス・電車の運賃が中心です。給与では通勤手当という名前で使われることが多いでしょう。
どちらも会社にとっては経費の一種ではありますが、通勤交通費においては社会保険料、労働保険料など計算の対象に入ることが特徴です。

交通費は対象に入らず、交通費を誤って通勤交通費に含めてしまうと保険料の負担が必要となるため、しっかりと区別する必要があります。

「旅費交通費」との違い

交通費と旅費交通費においても似ているようで、それぞれが持つ意味は異なります。

交通費は仕事や業務に関連して発生する、日常的な移動にかかる費用のことであると前述しました。
一方で、旅費交通費は研修、クライアント先への訪問など公的な用務で出張する際にかかる費用のことで、宿泊費や食費、現地での交通費なども含まれる点が特徴です。

つまり交通費は日常的な移動に限定されるのに対し、旅費交通費は出張に伴う幅広い費用を含むため、この違いを正しく理解しておくことが重要といえるでしょう。

交通費として計上できる主な費用

会社のルールによって異なりますが、交通費として計上できる費用は下記のとおりです。

  • ・ 電車代
  • ・ 新幹線乗車料金
  • ・ 航空券代
  • ・ バス代
  • ・ タクシー代
  • ・ ガソリン代
  • ・ 駐車料金 など

交通費は仕事や業務に関連して発生する移動費用となります。
自宅から職場までの通勤にかかる費用である通勤交通費には含まれないため、注意が必要です。

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出張など宿泊を伴う場合

宿泊を伴う場合の出張は、移動費と宿泊費を合算して出張費として計上します。

ビジネスホテルなどの宿泊費はこの費用に該当しますが、宿泊先のアップグレードや私的な滞在費、朝食付きなどの特別プランは費用として認められないため注意が必要です。
タクシーを利用する場合も必要最低限のとどめ、会社規程に沿って利用しなければなりません。

経費として認められるのは公共交通の通常運賃や規程に基づいた標準的な宿泊プランである点を理解し、選択しましょう。

交通費の3つの支給方法

交通費の精算は大半の企業で導入されていますが、法的に定められている義務ではありません。しかし会社負担として規程で定められている内容に沿って、支給されることがほとんどです。

交通費の支給方法については、下記の3つに分類されます。

1.全額支給

全額支給とは通勤や業務に関連して発生した移動費すべてを会社が支給することです。

従業員が負担する交通費は一切ないため、遠方からの通勤が発生する従業員にとっては非常にメリットとなる支給方法です。
一方で、企業にとっては上限のない交通費を支払うため会社負担は大きくなるというデメリットがあります。

2.一部支給

一部支給とは、会社規程で「1日1,000円まで」「月5万円まで」といった上限で定められている範囲内で会社が支給することを指し、規程内支給と呼ばれることもあります。

上限を超えた場合は従業員が負担する仕組みとなるため、従業員にとってはなるべく上限を超えないようかかる費用を意識したいところです。
企業は交通費にかかる費用を制御できるメリットがあります。

3.一律支給

一律支給とは、会社規程で上限が定められている費用を従業員へ支給することをいいます。

そのため実際にかかった費用が上限を下回る場合、上回る場合いずれも同額の支給がされることが特徴です。
企業にとっては個人ごとに異なる交通費を計算する手間がないこと、従業員にとっては交通費が上限を下回る場合、かかった費用よりも多く支給されるというメリットがあります。逆に上回った場合は従業員が負担します。

また、徒歩など交通費がかからない従業員へ支給する場合、支給額が課税対象となる場合もあるため取り扱いに注意しましょう。

通勤交通費(通勤手当)の非課税限度額

通勤交通費は一定の限度額を超えない範囲であれば非課税となります。

この非課税限度額は、通勤手段に応じて細かく定められており、電車やバスなどの公共交通機関のみを利用して通勤した場合、自家用車・自転車を利用した場合、この2つを併用して通勤した場合に分類されます。

それぞれの限度額は下記のとおりです。限度額を超過した場合は課税対象となるため注意しましょう。

項目 非課税限度額
公共交通機関のみで通勤した場合 上限1ヵ月15万円まで
公共交通機関と自家用車・自転車を併用して通勤した場合
自家用車・自転車を利用して通勤した場合 片道55km以上1ヵ月31,600円まで
片道2km以上4,200円から非課税対象

参考:「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」|国税庁

参考:「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」|国税庁

このように限度額が設けられている通勤交通費に対し、交通費や旅費交通費は業務上の必要経費として扱われ、支給額に上限はなく全額非課税となります。

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通勤交通費(通勤手当)の計算方法

通勤交通費は一定の上限を満たす場合、非課税となります。利用する交通手段によって異なる計算方法やポイントについて解説していきます。

公共交通機関のみで通勤するケース

公共交通機関のみで通勤する場合、通勤のために必要な料金や乗車時間の範囲と照らし合わせ、経済的かつ合理的な経路で通勤した場合にのみかかる定期代を支給します。
1ヵ月15万円を上限額として非課税となり、定期代1ヵ月分が毎月の給与にまとめて支給されるケースが一般的です。

また、グリーン車の利用は経済的かつ合理的は方法として認められないため注意が必要です。

自家用車のみで通勤するケース

自家用車や自転車を利用する場合には、下記の方法で計算されます。

往復の通勤距離×1ヵ月の勤務日数×ガソリン単価=1ヵ月の通勤手当

多くの企業では1kmあたりのガソリン単価を規程で設定し計算していますが、1kmあたり10~15円ほどの単価を目安に考えることをおすすめします。
仮にガソリン単価15円と定めている場合の計算方法は下記の計算方法になります。

30km(往復の通勤距離)×15円(ガソリン単価)=450円の支給(1日の支給額)

この場合、1日の支給額は450円となるため1ヵ月の勤務日数が20日とすると、450円×20日=9,000円が1ヵ月分の支給額です。

しかし、利用する車種によっては燃費量も変わりガソリン代の高騰もあるため、ガソリン単価÷燃費で算出し、状況に応じた見直しも必要でしょう。

前述で述べたとおり、片道2km以上の4,200円~片道55km以上1ヵ月31,600円までが非課税対象となるため非課税限度額を超えないよう会社規程で定める必要があります。

公共交通機関と自家用車を併用して通勤するケース

公共交通機関と自家用車を利用して通勤した場合については、定期代とガソリン代や駐車場代を合算した金額が支給額となります。
特に自家用車の使用においてはガソリン単価や計算方法が会社ごとに異なるため、規定に基づいて算出し、支給されます。

非課税となる限度額は1ヵ月あたり15万円までとなります。
公共交通機関や自家用車を利用した場合、そしてこの2つを併用した場合いずれも「経済的かつ合理的な経路や方法を選択すること」がポイントです。

交通費を経費精算する流れ

通勤交通費の経費精算は一般的に次の流れで行います。

  • 経費精算の流れ
    1. 交通費精算書に日付や金額、行き先、目的などを記載する
    2. 交通費精算書を起票し、上長の承認を得る
    3. 領収書を添付し、経理部門に提出する
    4. 経理担当者が適切な範囲内の申請かを確認し承認する
    5. 給与と一緒に振り込まれる(現金精算の場合もあり)

交通費の精算で押さえておきたいポイントとしては、行き先や目的、必要に応じて同行者などの情報が記載されていると不正を防ぎながら税務調査の対策にもなります。

また、起票された申請項目に不備がないかの確認も重要です。
最安の経路で申請しているか、元から税込み料金となる公共交通機関の消費税が二重で加算されていないか、差し戻しの発生を防ぐためにも注意しましょう。

また、精算のタイミングは月次精算が基本となりますが会社によっては3日以内に申請するといった社内ルールを設けている場合もあります。
社内周知を行い、申請漏れを防ぐためにも交通費の精算書は速やかに申請することが望ましいです。

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交通費を支給する際に注意すべきポイント

支給をする際には就業規則への明記や不正受給の防止、領収書や定期券の証憑確認、経路の最短性、私的利用の有無、会社規程への適合などが必要です。
支給タイミングや申請漏れにも注意しながら申請内容が経済的かつ合理的かどうか正しく判断することが大切です。

交通費の支給は福利厚生の一環としても非常に重要な項目であることから、押さえておくべき3つのポイントについて解説していきます。

交通費の支給ルールを就業規則に必ず記載する

交通費の支給にあたっては、明確なルールを定めることが重要です。

虚偽申告や不正受給を防止するために、支給対象となる交通手段や上限額、申請の方法やタイミングを具体的に規定しておくことで、従業員間の不公平感を防ぎトラブルの未然防止につながります。
頻繁に発生する交通費の申請においての基準を細かく記載することで、申請内容の透明性も高めつつ経理担当者の確認作業もスムーズになるので、組織全体の運用効率も向上されます。

制度の公正性を担保するためにも、交通費支給に関するルールは就業規則や会社規程に必ず記載しましょう。

交通ルートが合理的で経済的かどうか確認する

繰り返しにはなりますが、「経済的かつ合理的な経路や方法を選択すること」が重要なポイントなため、必ず確認していきましょう。
同じ目的地に複数の経路がある場合、最短距離や所要時間だけでなく、運賃が適正かどうかも考慮する必要があります。

例えば、特急やタクシーなどの高額な交通手段を常用するのではなく、公共交通機関の普通運賃を基本とすることが原則です。会社としても合理的なルートを明示しておくことで、不正受給の防止につながります。

申請内容と実際の通勤経路が一致しているか確認する

通勤交通費の申請では、申請内容と実際の通勤経路が一致しているかを確認することが欠かせません。
申請した経路と異なる路線を利用していたり不要な区間を含めて申請したりしていると、過大な支給や不正受給につながる可能性があるからです。

そのため、会社は住所や通勤経路を定期的に確認し、居住地に変更はないかなど確認する際の基準やルールを設けながら対策しつつ、透明性を維持しましょう。

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まとめ

交通費には旅費交通費や通勤交通費など複数の種類があり、それぞれ明確な違いがあるため会社規程で定められている支給ルールに沿って申請や精算をすることが非常に重要です。
日頃頻繫に発生する精算処理は、ミスなく効率化したい業務のひとつでもあります。

クロノスの経費精算システムは、交通費申請を正確かつスムーズにすることができます。
領収書をスマートフォンアプリで撮影して申請画面へかんたんにアップロード、入力項目も自動で反映されるため経費申請と精算処理をスムーズにします。

また、反映された金額は手修正を加えるとアイコンが表示され、自動で入力された金額なのか、手入力による金額なのかを確認できるため、虚偽申告や不正受給を未然に防止することが可能です。

クロノスの経費精算が気になった方は「クロノス経費精算」をぜひご検討ください。

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よくある質問

会社は交通費を負担する義務はある?

交通費の支給は会社の義務ではなく法律でも定められていませんが、大半の企業では支給を行っています。
支給の有無や範囲は企業ごとに異なる就業規則や会社規程などを確認し、ルールに沿って精算処理をしていきましょう。

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