コラム 第42回勤怠ソフトの設定方法で時間外労働が減る

今回は、実務の話を書かせて頂きます。弊社は勤怠ソフトの設定の代行をさせて頂くこともあるのですが、多くの会社で、所定外労働と時間外労働を混同しているケースが見受けられます。

「所定外労働」とは会社で定めた「所定労働時間」を超えて労働した時間のことをいいます。⼀方、法律上の「時間外労働」とは、労働基準法で定められた「法定労働時間」(1⽇8時間・1週40時間)を超える時間のことをいいます。36協定で「時間外労働」の上限規制があるのは、この「法定労働時間」を超える「時間外労働」のことを指します。
しかしながら、多くの会社で、「所定外労働」を「時間外労働」として取り扱っているケースが多いのです。これまでは、アナログで勤務時間の集計を行っていたため、「所定外労働」と「時間外労働」を分けて集計するのはとても手間がかかりました。集計の手間を省くために、実務上は「所定外労働」しかカウントしていなかったというケースが多かったのです。
しかし、本来「時間外労働」ではない時間を「時間外労働」としてカウントした結果、36協定違反という判定になるのは納得のいかないところです。
ちなみに弊社はフレックスタイム制を適用していますが、直近の「所定労働時間」は152時間で、「法定労働時間」は177時間でした。その差はなんと25時間です。フレックスタイム制の場合、「時間外労働時間」を計算する際、月の実労働時間が「法定労働時間」を何時間超えたかを判定すればよいので、「所定外労働」と「時間外労働」の差はそのまま25時間ということになります。ですから弊社では「所定外労働時間」と「時間外労働時間」を分けて集計しています。
こういった計算は、勤怠ソフトがあれば簡単にできます。私が勤怠ソフトの導入を強くお勧めする理由の一つです。

これから建設業等の「時間外労働」の上限規制猶予期間が令和6年3月31日をもって終了します。働き方を変えて労働時間を減らす工夫をすることはもちろんですが、勤怠ソフトを導入して、集計方法を変えることによって、「時間外労働時間」を減らすことを検討してみてはいかがでしょうか?

2022.08.30