2024年10月からの短時間労働者に対する社会保険の更なる適用拡大
コラム 第61回
2022年10月、従業員数が常時101人以上の事業所が「特定適用事業所」とされましたが、いよいよ2024年10月から、常時51人以上の事業所も「特定適用事業所」とされます。当該事業所では、これまで健康保険・厚生年金保険の被保険者でなかった短時間労働者も、加入要件を満たす者については、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱う必要があります。
要件に該当する事業所の手続き
通常、特定適用事業所に該当した場合には、日本年金機構等へ、特定適用事業所該当届を届け出る必要があります。
なお、2023年10月から2024年8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が、6か月以上50人を超えたことが確認できる場合は、日本年金機構にて「特定適用事業所」に該当すると判断し、対象の適用事業所に特定適用事業所該当通知書が送付されてきます。よって手続きは不要です。
準備期間中の取り組み
まずは、新たな社会保険加入対象者を把握しましょう。対象となるのは、下記条件を全て満たすパート・アルバイトの方です。
☑ | 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満 (※週所定労働時間が40時間の企業の場合) 契約上の所定労働時間であり、臨時に生じた残業時間は含みません。
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☑ | 所定内賃金が月8.8万円以上 基本給及び諸手当を指します。ただし残業代・賞与・臨時的な賃金等は含みません。 含まれない例
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☑ | 2ヶ月を超える雇用の見込みがある |
☑ | 学生ではない
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【出典】厚生労働省社会保険適用拡大ガイドブック
今回、社会保険加入対象となる労働者に対しては、必要に応じて、説明会や個人面談等をおこない、新たに社会保険の適用になることを伝えたうえで、労働時間等、今後の働き方について話し合い、最終的な意向を確認するようにしましょう。
被保険者資格を取得する為の手続き
特定適用事業所となったことに伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、その者に係る被保険者資格取得届を2024年10月7日までに日本年金機構の事務センター等へ届け出るようにしましょう。なお、健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者資格取得届については、健康保険組合へ届け出ることになります。
被保険者が増えるということは、保険料負担という観点から、企業にも労働者本人にも影響を与えることになります。今回新たに特定適用事業所の要件を満たすと思われる場合は、労働者に社会保険を正しく理解してもらったうえで意思確認をするとともに、企業側も経営上コストが増えることを想定し、検討を重ねて丁寧に準備していきましょう。